トランプ関税は誰が得する?米も株価続落で被害が甚大なのに!
2025年4月2日、トランプ前大統領は「解放の日(Liberation Day)」と銘打ち、世界中のほぼすべての輸入品に最低10%の関税を課すという大規模な新政策を発表しました。特に中国製品には54%、日本製品には24%の高率関税が上乗せされるという内容で、各国経済に大きな衝撃を与えました。この発表は、単なる経済政策にとどまらず、国際政治にも波紋を広げています。
▶️ 詳細はこちら:日本経済新聞
世界的な株式市場への衝撃
発表直後、世界各国の株式市場は未曾有の混乱に陥りました。米国ではダウ平均株価が1,679ポイント、約4%も急落し、ナスダック総合指数も6%近く下落。日本でも、日経平均株価が一時3万1,000円を割り込み、2023年末以来の安値を記録しました。さらに、オーストラリア市場ではたった数分で1600億豪ドル(約15兆円)が消し飛び、投資家たちはパニックに陥りました。この株価下落は、企業価値の急速な縮小と投資マインドの悪化を招き、世界経済全体に深刻な影響を及ぼしています。
“関税措置で世界経済後退のリスク 60%まで上昇” 米金融機関
一部抜粋
アメリカのトランプ政権が打ち出した一連の関税措置によって、世界経済が景気後退に陥るリスクが60%まで上昇したとする試算をアメリカの大手金融機関が明らかにしました。
アメリカの大手金融機関「JPモルガン・チェース」は3日、トランプ大統領が2日に表明した「相互関税」など一連の関税措置の影響を踏まえた世界経済の最新の見通しに関するリポートを発表しました。
このリポートは「血を見ることになるだろう」と題されていて、世界経済がことし景気後退に陥るリスクについて、それまでの40%から60%に引き上げています。
その要因として、トランプ政権の関税措置は輸入品を購入するアメリカの家庭や企業にとって増税にあたり、その規模はGDP=国内総生産の2.4%にあたる7000億ドル、日本円で102兆円余りにのぼることをあげています。
さらに、各国の報復措置やアメリカの景況感の悪化、製品の供給網=サプライチェーンの混乱などによって、経済への影響はさらに拡大する可能性が高いと指摘しています。出典:NHK

世界経済がことし景気後退に陥るリスクについて、それまでの40%から60%に引き上げています。
誰が得しているのか?
表向きには、トランプ氏が掲げる「アメリカファースト」によって国内産業が保護されるとされています。関税により輸入品が高騰し、国内製品に競争優位性が生まれるため、鉄鋼やアルミニウム産業、農業機器製造、繊維産業など一部の業界は短期的な恩恵を受ける可能性があります。
しかし、これらの産業であっても長期的には原材料価格の高騰、国際報復関税による輸出減少、コスト増加といった逆風に直面するリスクが高いと見られています。
結局のところ、真に利益を得る主体は極めて限られていると言わざるを得ません。

アメリカファーストだとしたら自国なのかな?
米国内でも広がる影響
最大の被害を受けているのは、米国の一般消費者と幅広い産業界です。輸入コストの上昇は企業利益を圧迫し、製品価格の上昇を招き、インフレ圧力が高まっています。JPモルガン・チェースのCEOであるジェイミー・ダイモン氏は、インフレの再燃とそれによる経済成長の減速に警鐘を鳴らしており、消費者の購買意欲低下が景気後退を加速させる可能性を指摘しています。
また、ドイツ銀行も「株式市場の暴落、経済成長鈍化、そして世界秩序そのものが脅かされている」と厳しい分析を発表しました。
実際、物価の急上昇は庶民の生活に直接的な打撃を与え、中小企業の経営もますます厳しくなっています。
世界経済への連鎖反応
関税措置の影響は米国国内にとどまらず、各国政府も対抗措置を検討し始めています。特にEUや中国、日本、カナダなどが報復関税や新たな貿易障壁を設ける可能性があり、世界規模で貿易摩擦が拡大する懸念が高まっています。これにより、グローバルサプライチェーンが寸断され、国際貿易が縮小することで、景気後退(リセッション)のリスクが現実味を帯びています。
トランプ氏、中国が報復関税を課すなら「50%の追加関税」…自身のSNSに投稿 一部抜粋
米国のトランプ政権は5日、相互関税の第1弾として、ほぼ全ての国・地域からの輸入品に一律10%の関税を課す措置を発動。9日には、貿易相手の国・地域が米国からの輸入品に課している関税率や非関税障壁を考慮し、第1弾の10%の関税に税率を上乗せする措置を予定している。中国には計34%の追加関税が課される予定だった。
一方、政権の閣僚らは6日、相次いで米テレビに出演し、一連の関税政策の意義を説明した。ベッセント米財務長官は6日、米NBCテレビのインタビューで、急落した株価について「短期的な市場の反応は時々みられる」と述べ、一時的な動きにすぎないとの見方を示した。CBSテレビに出演したラトニック米商務長官は相互関税の発動時期が各国との交渉によって延期される可能性について問われ「あり得ない。数日間、数週間は間違いなく維持されるだろう」と明言した。
出典:読売オンライン
国際通貨基金(IMF)も、これらの動きが世界のGDP成長率を大幅に押し下げる可能性があると警告しており、今後数年間にわたる経済的ダメージが懸念されています。
まとめ
現時点では、トランプ関税によって短期的に恩恵を受ける企業や産業がわずかに存在するものの、総合的に見れば多くの企業や消費者が大きな打撃を受けていることは明らかです。アメリカ国内外で経済的な混乱が広がるなか、企業も投資家もかつてない慎重なリスク管理を求められています。今後の展開次第では、関税措置が撤回される可能性もありますが、しばらくは不安定な経済状況が続くことが予想されます。引き続き、関税政策の動向を注視し、適切な備えを進めることが重要です。
関連:トヨタ株の買い時は?世界同時株安のタイミングは最良の爆買い時期!
政府が進める「強力な物価高対策」その内容と効果はどのようなものか?
トランプ大統領の米関税、日本だけ免除される可能性はあるのか?
コメント