生活保護と夫婦別居:受給の条件と注意点
1. 夫婦別居でも生活保護は受給できるのか?
夫婦が別居している場合でも、生活保護の受給は可能です。ただし、生活保護は原則として世帯単位での収入や資産を基に審査されるため、状況によっては受給が認められないこともあります。
特に、以下のような状況にある場合は、生活保護の申請が通りやすくなります。
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配偶者が生活費を支払っていない場合
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DV(ドメスティック・バイオレンス)やモラハラ(モラルハラスメント)により避難している場合
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配偶者が行方不明で連絡が取れない場合
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別居中の配偶者が自身の生活で精一杯で援助できない場合
このようなケースでは、役所にしっかりと状況を説明し、証拠となる資料(別居を証明する書類、DVの診断書や警察の相談記録など)を提出することが重要です。
2. 夫婦別居で生活保護を申請する際のポイント
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別居の理由:DV(ドメスティック・バイオレンス)やモラハラ(モラルハラスメント)、病気や介護などが理由で別居している場合、生活保護の審査で配慮されることがあります。
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扶養義務の確認:民法上、夫婦には互いに扶養義務があります。配偶者からの仕送りや支援が可能な場合は、生活保護の受給が難しくなることもあります。
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世帯の扱い:夫婦が別居している場合、役所がそれぞれを独立した世帯として扱うかどうかが重要です。これにより生活保護の審査結果が変わる可能性があります。
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住民票の移動:別居後も住民票が同じままだと、同一世帯とみなされる可能性があります。別居の事実を明確にするためには、住民票を別の住所に移すことが推奨されます。
- 収入の確認:別居していても、生活費を受け取っている場合は、申請時に報告が必要です。
生活保護の申請について、よくある誤解
(詳しくは生活保護制度をご覧ください)
- 必要な書類が揃っていなくても申請はできます。
住むところがない人でも申請できます。
・まずは現在いる場所のお近くの福祉事務所へご相談ください。
・例えば、施設に入ることに同意することが申請の条件ということはありません。扶養義務者の扶養は保護に優先しますが、例えば、同居していない親族に相談してからでないと申請できない、ということはありません。
- 持ち家がある人でも申請できます。
・利用しうる資産を活用することは保護の要件ですが、居住用の持ち家については、保有が認められる場合があります。まずはご相談ください。- 利用しうる資産を活用することが保護の要件ですが、例外もあります。
・自動車については処分していただくのが原則ですが、通勤用の自動車を持ちながら求職している場合に、処分しないまま保護を受けることができる場合があります。
・自営業のために必要な店舗・器具も、処分しないまま保護を受けることができる場合があります。出典:厚生労働省
3. DVやモラハラが原因の別居と生活保護
DVやモラハラが原因で別居している場合、扶養照会(配偶者に生活費の援助が可能か確認する手続き)が免除されることがあります。これは、被害者の安全を最優先するための配慮です。実際に自治体ごとに対応が異なるため、事前に福祉事務所へ相談するとよいでしょう。
また、DV被害者の場合は、シェルターや支援団体に相談し、適切な保護を受けることも重要です。保護施設に入所している場合は、特例措置が適用される可能性があります。
4. 婚姻費用の請求と生活保護
夫婦が別居中であっても、生活費(婚姻費用)の分担義務が発生します。そのため、生活保護を申請する前に、まず配偶者へ婚姻費用を請求することが求められる場合があります。しかし、配偶者が支払いを拒否したり、連絡が取れない場合は生活保護の申請を進めることが可能です。
また、婚姻費用分担調停を申し立てることで、配偶者からの支援を受けられる場合があります。しかし、支援を受けるまでに時間がかかることが多いため、生活保護を併用することが必要になることもあります。
5. 生活保護申請の流れ
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福祉事務所へ相談:まず、お住まいの市区町村の福祉事務所へ相談し、状況を説明します。
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必要書類の提出:収入や資産、別居の状況を証明する書類を用意します。
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調査・審査:役所の担当者が収入状況や生活環境を調査し、生活保護の可否を判断します。
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結果通知:申請から約1か月後に生活保護が受給できるかどうかが通知されます。
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扶養照会の有無の確認:DVやモラハラの場合、扶養照会の免除を申請できます。
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受給開始:審査が通れば、生活保護費の支給が開始されます。
6. 生活保護申請が却下された場合の対応
万が一、生活保護の申請が却下された場合は、以下の方法を検討できます。
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再申請:状況が変わった場合、再申請を行うことができます。
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異議申し立て:不服がある場合は、異議申し立てを行い、審査請求をすることが可能です。
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法テラスや弁護士に相談:法律の専門家に相談することで、適切な対応ができる可能性があります。
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支援団体への相談:NPO法人や支援団体に相談することで、生活の手助けや法的支援を受けられる可能性があります。
7. まとめ
夫婦が別居している場合でも、生活保護を受給できる可能性はあります。しかし、民法上の扶養義務や婚姻費用の請求の有無、別居の理由などが審査の重要なポイントとなります。まずは福祉事務所へ相談し、自分の状況に合った対応を進めることが大切です。また、DVやモラハラの被害者の場合は特別な配慮がされるケースもあるため、支援団体や弁護士に相談することも有効な手段となるでしょう。
さらに、生活保護の申請がスムーズに進むよう、必要な書類をしっかり準備し、住民票の移動や収入の申告を適切に行うことも重要です。状況によっては、他の支援制度と組み合わせることで、より安定した生活を確保することができるでしょう。
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