李在明が「日本と仲良くしたい」と発言！なぜこのタイミング？

発言内容と背景

2025年4月15日に公開された動画の中で、韓国の次期大統領選挙の有力候補であり、最大野党「共に民主党」から出馬予定の李在明（イ・ジェミョン）氏が、「日本とは大局的に協力すべき存在であり、

未来志向の関係が必要だ」と語り、日本との関係改善に前向きな姿勢を示しました。

さらに、5月20日には自身のYouTube番組にて、「私は本当に日本と仲良くしたい」と明言し、「日本に敵対的だろうという先入観があるが、それは誤解だ」と発言。過去の反日的イメージの払拭を強く意識した内容となっており、国内外で注目を集めました。

李氏は、「歴史問題や独島（竹島）の問題については我々が強く対応するしかないが、文化交流や韓日協力の分野には積極的で開放的だ」と強調し、外交・経済・文化の分野での実務的な協力関係を強調しました。

これまで李氏は、慰安婦問題や徴用工問題、さらには竹島領有権など歴史的対立において、日本に対し厳しい発言を繰り返してきたことで知られており、その発言は韓国国内の保守層からは称賛される一方、日本側からは「反日姿勢」として警戒されていました。

そんな李氏が、なぜ今になって対日協調路線に舵を切るような発言を行ったのでしょうか？その背景には、地域情勢の変化、経済的現実、そして大統領選挙をにらんだ戦略的判断があると見られています。

発言内容と背景
韓国大統領選の有力候補・李在明氏は、これまで日本に対して厳しい姿勢を取ってきたものの、2025年4月と5月の発言で「日本と仲良くしたい」と協調路線を打ち出しました。歴史問題では強い立場を維持しつつも、経済や文化の分野での協力を重視する姿勢を明言。背景には、東アジアの緊張、経済の相互依存、そして選挙戦略上のイメージ転換があると見られています。

「日本と仲良くしたい」　野党の李在明候補―韓国大統領選

【ソウル時事】韓国大統領選（６月３日投開票）において、支持率でリードする革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表は２０日、自身のユーチューブ番組で「私は本当に日本と仲良くしたい」と表明した。「日本に敵対的だろうという先入観があるが、誤解だ」と主張した。
政権交代を見据え、反日のイメージを払拭し尹錫悦前政権が進めた日韓協力の継続をアピールする狙いがあるとみられる。李氏は「歴史問題や独島（島根県竹島）の問題には私たちが強く対応するしかないが、私は文化交流や韓日協力分野には、積極的で開放的だ」と強調した。

出典：「日本と仲良くしたい」　野党の李在明候補―韓国大統領選：時事ドットコム

なぜ今、対日協調を語るのか

1. 地政学的な統帯の変化と安全保障上の必要性

北朝鮮による核実験やミサイル発射、中国の台湾海峡や南シナ海での軍事的影響力の拡大など、東アジア地域の安全保障環境は大きく変動しています。このような中で、韓国と日本が対立するよりも、アメリカを中心とした安全保障の枠組みの中で連携・協力することの必要性が高まっています。

李在明氏はこのような現実を踏まえ、「対話と協力の姿勢こそが韓国の国益にかなう」と主張し、安全保障における日韓の協調の重要性を訴えています。

安全保障上の問題
東アジアの安全保障が不安定化する中、李在明氏は日韓の対立よりも米国を中心とした協力が重要とし、「対話と協力こそが韓国の国益」と強調。日韓の安全保障連携の必要性を訴えています。

2. 経済的な相互依存と協力の利益

日韓両国の経済関係は深く、韓国にとって日本は中国、アメリカに次ぐ重要な貿易相手国です。2024年の両国間の貿易総額はおよそ32兆円に達し、自動車部品、半導体製造装置、素材産業などの分野で強い連携が求められています。

また、日本からの観光客が韓国経済に与えるインパクトも大きく、コロナ禍後の観光回復を背景に、両国の民間交流の再活性化も急務です。

相互依存と協力

日韓の経済関係は深く、貿易や観光で強く結びついています。特に半導体や素材産業の連携、観光回復による民間交流の活性化が重要な課題となっています。

3. 国内外へのイメージ戦略と選挙対策

李在明氏は国内では改革派として知られ、庶民目線の政策提言で支持を広げてきました。しかし外交面では保守的で攻撃的な言動が目立ち、日本に対する批判的発言も多かったことで、対外的な信頼度に疑問を持たれることもありました。

その中で、近年はより柔軟で現実的なリーダー像を演出しようとしており、今回の「日本と仲良くしたい」という発言は、海外投資家や国際社会に向けたイメージ改善の一環とみられます。また、経済界との連携強化を示すことで、保守層への支持拡大も狙っている可能性があります。

国内のイメージ作戦
李在明氏は改革派として国内支持を得る一方、対外的には強硬姿勢で信頼を欠く面もありました。今回の発言は、柔軟な指導者像を打ち出し、国際的な信頼回復と経済界・保守層への支持拡大を狙った動きとみられます。

日本側の反応は？

日本国内では、李氏の発言に対して冷静な反応が見られています。「言っていることは前向きだが、過去の言動を考えると慎重に見極める必要がある」とする声が支配的です。特に、自民党内では「政権を取ってからの対応を見ないと信用できない」との慎重論も根強く、文在寅元大統領のケースを思い出す向きも少なくありません。

また、日本のメディアやシンクタンクの中には、「李氏の発言はポーズであり、選挙が終われば再び対日批判を強める可能性もある」と警戒する見方も存在します。ただし一方で、若い世代やビジネス界では「実務的な関係構築を優先すべきだ」として、李氏の現実路線への転換を評価する声も上がっています。

日本側の対応
日本では李在明氏の発言に慎重な見方が多く、「政権を取ってからが本番」と警戒する声が主流です。一方で、若年層や経済界では実務的な関係改善を期待する声も見られます。

裏に隠された本当の理由とは？

李在明氏の「日本と仲良くしたい」という発言の裏には、表面的な外交戦略や選挙向けのメッセージだけでは説明しきれない、いくつかの思惑が見え隠れしている可能性があります。

第一に、
経済危機への危機感です。2025年現在、韓国経済は若年層の高失業率や物価上昇、対中依存のリスクなど複合的な不安要素を抱えています。こうした状況の中で、安定した技術協力や投資促進を図るうえで、日本との関係改善は「現実的な一手」として浮上しているのです。とりわけ、半導体・素材分野での日本依存は避けられず、李氏としては「協力的な姿勢」をアピールせざるを得ない背景があります。

第二に、
米国の圧力や同盟国間の整合性も無視できません。バイデン政権はインド太平洋地域における中国封じ込め戦略を進めており、その枠組みにおいて、日韓の連携強化はアメリカの国益にも直結しています。李氏が「日米韓の枠組み」への協調姿勢を見せることは、米国との関係安定を狙ったシグナルとも取れるでしょう。

第三に、
「親中・反米」とのイメージの払拭です。李在明氏はこれまで、中国寄りの姿勢を指摘されることも多く、保守層からは「安全保障に不安がある」と批判されてきました。ここで日本に対して友好的な発言をすることで、「私は西側諸国とも協調できる」という印象を与え、外交的バランス感覚を示そうとしているのかもしれません。

こうした裏の意図を踏まえると、今回の発言は単なる友好メッセージというより、「政権奪取後を見据えた国際的な地ならし」とも解釈できます。