四日市・地下駐車場の「車の補償は誰がする？」徹底ガイド

2025年9月16日更新

まず結論

• **第一の窓口はご自身の任意保険（車両保険）**です。水害・冠水・浸水は多くの車両保険で補償対象になります（契約タイプにより範囲が異なるため要確認）。

• 自賠責保険は「物損」対象外のため、車の損害補償には使えません。

• 駐車場側（管理者・所有者）の責任は、排水設備の不備・止水措置の不備・停電時の運用手当など、設置・管理上の過失や瑕疵が認められるかで左右されます。純粋な「天災」で過失なしと判断されると、駐車場側の賠償は認められない可能性があります。

• 公共施設の場合は営造物（公の施設）の設置・管理の瑕疵が問われます。判断には構造・用法・場所・当日の運用実態などの総合評価が必要です。

ポイント：実務では「①自分の保険でスピーディに救済」＋「②駐車場側の情報を収集して過失有無を検討」が王道です。

 

今回の背景（四日市の地下駐車場で何が起きたか）

• 2025年9月12日、三重県四日市市で**観測史上最大級の豪雨（1時間123.5mm）**が発生。

• 近鉄四日市駅前の地下駐車場が浸水し、地下2階は水没、地下1階も広く冠水。200台近い車両が水没したと報道されています。

• 停電により排水ポンプが停止し、止水板の設置が間に合わなかったとの情報もあり、管理体制の不備が争点となる可能性があります。

• 多くの利用者が「自賠責保険では補償されない」と知り、混乱している状況です。

補償の枠組みを整理

1) 自分の任意保険（車両保険）

• 水害・洪水・高潮・冠水などの自然災害被害は、一般型の車両保険なら補償対象。

• エコノミー＋A型（車対車＋限定補償型）では「水害・自然災害」は対象外のケースが多いため要確認。

• 補償内容のチェックポイント：

2) 駐車場側の責任（民法709条・717条）

• 排水ポンプや止水板の運用不備、停電対策の欠如などが明確なら、管理者に損害賠償責任が及ぶ可能性あり。

• 逆に「想定外の豪雨」「必要な管理を尽くしていた」と判断されれば、天災免責として責任を問えない場合もあります。

• 裁判例では「設備の瑕疵があったか」「管理者が予見可能だったか」が最大の争点になりやすいです。

3) 公共施設の場合（国家賠償法1条）

• 市や自治体が設置・管理する駐車場であれば「公の営造物」として扱われ、設置・管理の瑕疵があれば市に賠償責任が及ぶ可能性があります。

• 過去の判例では、施設の構造・立地・利用状況に応じた安全性が十分確保されていたかが重視されます。

＜＜＜人気商品＞＞＞

被害者が取るべき実務アクション

① 保険会社への連絡

• まずは契約している保険会社に事故受付。

• 写真・動画・証拠を残し、保険会社の指示に従って動くことが大切。

② 証明書の取得

• 四日市市では被災届出証明書を即日交付しています（自動車も対象）。

• 保険請求や各種減免に活用可能。住家被害の場合は罹災証明書を取得。

③ 駐車場管理者への事実確認

• 管理主体や運用実態を照会。以下の事項を文書で確認：

④ 専門家への相談

• 設備技術者（建築・水処理）と弁護士のダブルチェックで、設備不備の有無を検証。

• 被害者が複数いる場合は合同で説明会を要求し、交渉を有利に進めましょう。

よくある質問（FAQ）

Q1. 自賠責しか入っていない場合は？
A. 自賠責は人身のみで物損は対象外。車両保険未加入の場合は自己負担が基本です。

Q2. 駐車場に「天災免責」の掲示があると請求できない？
A. 掲示があっても、設備の瑕疵や管理過失があれば賠償を請求できる可能性があります。

Q3. 水没車は修理できる？
A. 多くは電装系・内装が壊滅的にダメージを受け、修理費が車の時価を超えるため「全損扱い」になるケースが多いです。

Q4. 代車やレンタカー費用は出る？
A. 特約があれば補償対象。日数・金額の上限を確認してください。

Q5. 今後の裁判や集団訴訟の可能性は？
A. 多数被害が出ているため、共同での法的対応が検討される余地があります。被害者間で連絡を取り合うことも有効です。

写真の撮り方（実践編）

• 車体全景＋ナンバー（前後から）

• 室内写真（運転席・後部座席・トランク）

• 水位痕の接写（ドア内側、シート、床面）

• 駐車区画番号や周辺状況（排水口・通路）

• 新聞やスマホ時計と並べて撮影（時刻証拠用）

＜＜＜人気商品＞＞＞

責任者は誰？

1. 管理者（占有者）

• 地下駐車場を日常的に管理・運営している会社や団体です。

• 清掃・点検・設備の稼働確認・止水板の設置や避難誘導など、現場の運営責任を負っています。

• 排水ポンプが作動しなかった、止水板を閉めるのが遅れたといった「運用面の過失」があれば、まず管理者の責任が問われます。

2. 所有者（施設の持ち主）

• 駐車場を保有する会社や自治体。

• 民法717条の「工作物責任」により、構造的な欠陥や設計不備など「設置・保存に瑕疵」があった場合は、所有者が責任を負います。

• 管理者に委託していても、所有者が「監督責任」を免れるわけではありません。

3. 公共施設の場合：自治体（四日市市）

• 駐車場が市の営造物であれば、国家賠償法1条の対象になります。

• この場合の責任者は「四日市市長」または**市の所管部署（都市整備部や建設部など）**が窓口となります。

• ただし、異常豪雨という不可抗力であり、設備が想定通り整備・管理されていたと認められると、免責の可能性もあります。

まとめ

• 四日市市の地下駐車場浸水は、自分の車両保険が一次救済の柱。ただし、駐車場の管理不備や市の設置・管理の瑕疵があれば、追加の賠償を請求できる可能性もあります。

• 被害を受けた方は、証拠保全・証明書取得・保険手続き・駐車場への事実確認を同時並行で進めましょう。

• 共同での対応が被害回復への近道となる場合があります。

著者メモ

本記事は「被害直後の初動マニュアル」としてご利用ください。駐車区画や契約タイプをメモしておくと、専門家や保険会社とのやり取りがスムーズになります。

関連

【江戸川区のガス爆発】事故はだれの責任！損害補償は払ってくれるの？

三重県で記録的短時間大雨情報　四日市市近で約120ミリの猛烈な雨