日産の株価はなぜ安い!いくらが買い時なのか?専門家が詳しく解説
最終更新:2025年8月27日(日本時間)
まず結論:割安に見えるが“理由あり”の安さ。買うなら「段階的に」かつ指標とイベントで見極めを
-
足元の急落はメルセデス・ベンツ年金信託の3.8%持ち株売却(8/26)が直接要因。前日比約6%安まで売られ、約339円まで下落しました。大型ブロック売却で需給が悪化した格好です。Reuters+1
-
ファンダ面では、2025年4–6月期に営業損失▲791億円、最終赤字▲1,158億円と業績が急悪化(4年ぶりの四半期営業赤字)。通期上半期も営業赤字見通しを会社側が示しています。ReutersYahoo!ファイナンス
-
バリュエーションはPBR0.25〜0.30倍前後と同業他社(トヨタ約1.0倍、ホンダ約0.5〜0.6倍)より低位で「帳簿価値割れ」の水準ですが、低収益と不透明感を織り込んだ“ディスカウント”でもあります。モーニングスターYahoo!ファイナンス+1
<<<人気商品>>>
なぜ日産の株価は安いのか(3つのコア要因)
1) 収益力の弱さ(マージンが極薄)
2024年度(2024/4–2025/3)は**売上12.6兆円に対し営業利益698億円、営業利益率0.6%**と超低採算。利益体質が弱く、ちょっとした逆風で赤字に転落しやすい構造です。ニッサンニュース日産自動車グローバルサイトwealth.esunbank.com
2) マクロ・政策の逆風(米国関税)
2025年4–6月期は米国の対日車関税の影響が大きく、会社推計で今期コスト影響は最大3,000億円規模に及ぶ可能性があると報じられました。コスト増は営業損失計上の主因の一つ。ウォール・ストリート・ジャーナル
3) 地域別の課題(中国・日本の弱含み)
直近まで中国の販売が大幅減で全社の足を引っ張ってきました。2025年は月次でマイナスが続いた時期があり、年初来でも前年割れの局面が目立ちました。Metal.comMetal.com
直近の“ショック安”は需給要因
8/26のメルセデス年金信託による3.8%売却は、ディスカウント条件でのブロックトレード。需給悪化で一時6〜6.5%安まで売られました。こうした外部株主の売り抜けは短期で“安さ”を演出しやすい一方、需給が戻れば自律反発も起きやすいパターンです。
「割安」は本物か?— 指標でざっくり確認
-
PBR(株価純資産倍率):約0.25〜0.30倍(トヨタ約1.0倍、ホンダ約0.5〜0.6倍)
→ 帳簿価値の大幅ディスカウント。ただし、低収益・再編コスト・関税不確実性が理由。モーニングスターYahoo!ファイナンスGuruFocus -
PSR(売上高倍率):約0.1倍とセクター平均を下回る水準。景気敏感・薄利を反映。StockAnalysisYahoo!ファイナンス
-
52週レンジ:299円〜554円。足元は下限圏に接近。GuruFocus
指標は割安寄りでも、“安い理由”が解消されるかが肝心。業績の底打ちと構造改革の進捗がカギです。
中期の改善材料(カタリスト)
-
大再編「Re:Nissan」:生産能力を350万→250万台へ削減、工場統合(日本・追浜は2027年度末停止、メキシコCIVACは2025年度内に集約)で固定費を縮小。ニッサンニュース+1
-
中計「The Arc」:電動化・地域最適の商品攻勢(34の電動化モデル群など)で収益力回復を狙う。ニッサンニュースマークラインズ
-
アライアンス再構築:ルノーとの新枠組みが発効済み。過度な資本関係の歪みを是正し、機動性向上へ。ニッサンニュース
じゃあ「買い時」はいくら?— 価格帯と戦い方(私見のフレーム)
前提:投資助言ではなく、情報に基づく戦略の考え方です。
価格帯の目安(短中期)
-
330円前後〜300円台前半:
直近のブロック売却で需給悪化による“行き過ぎ”が出やすいゾーン。試し玉を小さく(例:全体の3割)入れる余地。52週安値(約299円)に近いほどリスクリワードは改善。 -
〜300円割れ(もし来れば):
PBR0.2倍台前半が見え、ディスカウント極端化。ただしネガティブニュース(業績/関税/追加リストラ等)の“受け皿”にされやすいので分割エントリー推奨
入り方のコツ
-
ドルコスト平均法(3〜4回に分ける)で価格リスクを平準化。
-
“条件付きで厚くする”トリガー
-
四半期で営業赤字幅の縮小または黒字化兆候が出た時。
-
工場統合のマイルストーン達成(Oppama停止計画やCIVAC集約の進捗が公式に確認できた時)。
- 関税動向の緩和/明確化(コスト見積りが後退・確定した時)。
-
手仕舞い・見切りライン(例)
-
会社見通しに想定外の下方修正が重なる、またはキャッシュ確保策が進まず資本調達の懸念が高まった場合はいったん縮小。
<<<人気商品>>>
主要リスク(“安さ”の裏側)
-
関税・政策リスクが長引く(米国)。ウォール・ストリート・ジャーナル
-
構造改革の実行遅延や一時費用の増加で、赤字が長引く。ニッサンニュース
まとめ
-
「PBR0.25〜0.30倍・PSR0.1倍」という数字上の割安は本物。ただし、業績赤字・関税・再編コストを織り込んだ“理由ある安さ”。
-
300円台前半は分割で拾う余地。業績の底打ちサインとリストラ進捗、関税の見通しをトリガーに厚みを調整するのが現実的です。
免責事項:本記事は情報提供であり、特定銘柄の売買を勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。


コメント