1リットル14円の燃料は本当?「ドリーム燃料」の仕組みと現在の実用化状況を事実から検証
「1リットル14円で燃料を作れる」
そんな情報が2026年に入り、インターネット上などで注目されています。
この燃料は「ドリーム燃料」「人工石油」などと呼ばれており、京都大学名誉教授の今中忠行氏らが開発した技術として紹介されています。
では、本当に1リットル14円で燃料を作ることができるのでしょうか。
この記事では、現在確認できる資料をもとに、
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1リットル14円という数字の根拠
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ドリーム燃料は何から作られるのか
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実証実験は行われたのか
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政府はどのように説明しているのか
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一般のガソリンスタンドで14円で販売されているのか
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国が進めている一般的な「合成燃料」とは何が違うのか
について、確認できた事実を整理します。

<防災用に用意しましょう>
「1リットル14円」という数字は存在する
結論からいうと、「1リットル14円」という数字は実際に公表されています。
2023年に公開された報道では、サステイナブルエネルギー開発が「人工石油」の生成コストについて、軽油の場合で1リットル14円と試算していることが紹介されています。
この14円は、ガソリンスタンドなどで消費者に販売されている価格ではありません。
あくまで、人工石油を製造する際の生成コストの試算です。
当時の報道によると、試算にはポンプや紫外線ライトの電気代、原水の費用、メンテナンス費用などが含まれているとされています。
一方、原料として使用する「種油」は繰り返し使用できるとして、14円のコスト計算には含めていないと報じられています。
ドリーム燃料とは何なのか
ドリーム燃料は、京都大学名誉教授の今中忠行氏らが開発した技術として紹介されています。
開発会社の説明では、二酸化炭素と水を利用し、特殊な光触媒などを使って炭化水素を合成する技術とされています。
株式会社アイティー技研の公式サイトでは、
「炭酸ガスと水から石油を化学合成する」
という技術が紹介されています。
同社の説明では、二酸化炭素を含む水に特殊な光触媒を利用し、紫外線を照射する工程などを経て、炭化水素を生成するとされています。
また、生成する燃料として軽油や重油などが挙げられています。
「水と二酸化炭素だけ」ではない点に注意
ドリーム燃料については、「水と二酸化炭素から石油を作る」という説明がされています。
ただし、開発会社の公式説明を見ると、実際の工程では種となる石油を混合する工程も説明されています。
公式サイトでは、二酸化炭素を含む水を特殊光触媒カラムに通し、紫外線を照射した後、活性化水と「種となる石油」を混合する工程が説明されています。
その後、反応によって炭化水素を生成し、水層と油層に分離するとされています。
したがって、「水と二酸化炭素だけを入れれば、何もない状態から大量の石油が出てくる」という単純な説明だけでは、実際の製造工程を正確に表していません。
2023年には大阪で実証実験が行われた
ドリーム燃料については、過去に実証実験も行われています。
2023年1月には、大阪市の花博記念公園鶴見緑地で実証実験が行われました。
この実証実験には、大阪府、大阪市、大阪商工会議所が支援として関わっています。
当時の報道では、水や大気中の二酸化炭素などを利用して人工石油を生成する装置が使用されたとされています。
また、実証実験では生成した燃料を利用した発電などについても紹介されています。
ただし、大阪市の関係者は当時、実証した技術について、一般論として**「科学的な検証はできていない」**と説明していたことも報道されています。
2026年にも「1リットル14円」という説明が報じられている
2026年には、今中忠行氏が人工石油について説明した記事が公開されています。
公益社団法人日本鋳造工学会中国四国支部が紹介した記事では、今中氏が人工石油について、すでに連続生産を可能にする産業用装置を作り、実用化の段階に入っていると説明したことが紹介されています。
同記事では、軽油の場合について、
「メンテナンス込みでも1リットル14円程度」
という説明も掲載されています。
また、開発段階で自動車などを走行させたとの説明も掲載されています。
ただし、これらはあくまで開発者側の説明として紹介された内容です。
日本政府は「14円/L」を公式な製造コストとして認定しているのか
ここは非常に重要なポイントです。
2024年3月27日の衆議院経済産業委員会で、「ドリーム燃料」について政府側に質問が行われています。
政府参考人は、ドリーム燃料について、
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原料となる化石燃料
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二酸化炭素
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触媒から作る特殊な水
などを混合して製造する燃料として説明しています。
そのうえで、当時の政府答弁では、製造原理、品質、製造コストなどについて、専門家の間でも定まった評価はまだないという説明がされています。
つまり、
「1リットル14円」という数字が存在すること
と、
「日本政府が1リットル14円で大量生産できることを確認したこと」
は別の話です。
2026年9月26日時点で確認できる国会答弁では、少なくとも政府が14円/Lを公式な製造コストとして認定した事実は確認できません。
国が研究している「合成燃料」は別の技術
日本政府も「合成燃料」の研究開発を進めています。
経済産業省によると、合成燃料は二酸化炭素と水素を原料として製造する燃料で、ガソリンや軽油などの代替燃料として研究されています。
経済産業省の資料では、合成燃料の製造コストは現在のところ高く、1リットル約300~700円という試算が紹介されています。
また、経済産業省の資料では、合成粗油について、
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現状の想定:約700円/L
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国の目標コスト:約200円/L
という数字も示されています。
ここで重要なのは、これは「ドリーム燃料」と同じ技術の価格ではないということです。
国が進めている一般的な合成燃料と、今中氏らが開発している「ドリーム燃料」は、製造方法や原料、コスト計算の前提が異なります。
そのため、単純に「国は700円、ドリーム燃料は14円だから、14円のほうが正しい」と比較することはできません。
実際に合成燃料を使ったバスも走っている
合成燃料そのものについては、すでに実証段階まで進んでいます。
2025年の大阪・関西万博では、合成燃料を使用したシャトルバスが運行されました。
経済産業省によると、この合成燃料は二酸化炭素と水素から製造され、横浜市にあるENEOS中央技術研究所内の実証プラントで製造されました。
この実証プラントの製造能力は、1日約1バレル、約160リットルとされています。
大阪・関西万博の公式サイトでも、合成燃料を一部のシャトルバスの燃料として使用したことが確認できます。
では「1リットル14円」は嘘なのか?
ここも慎重に整理する必要があります。
現在確認できる資料から言えるのは、
「1リットル14円」という数字は、ドリーム燃料の開発・関係者側が示している製造コストの試算として存在する
ということです。
一方で、
「日本国内で誰でも1リットル14円で購入できる燃料がすでに販売されている」
という事実は確認できません。
また、
「日本政府が1リットル14円で大量生産できることを認定した」
という事実も確認できません。
さらに、2024年の国会答弁では、ドリーム燃料について製造原理、品質、製造コストなどの評価が専門家の間でも定まっていないとの政府側説明があります。
したがって、現時点では、
「1リットル14円」という数字は存在するが、それを一般的な市場価格や公的に確定した大量生産コストと考えることはできない
という整理になります。
14円の内訳にも注意が必要
2023年の報道で紹介された14円/Lの試算には、
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ポンプの電気代
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UVライトの電気代
-
原水の費用
-
メンテナンス費用
などが含まれているとされています。
一方、種油については繰り返し使用できるという前提から、コスト計算に含まれていないとされています。
そのため、「14円」という数字を見るときには、何をコストに含め、何を含めていないのかを確認する必要があります。
「14円で販売されるガソリン」が存在するわけではない
現在の段階で、
1リットル14円の燃料がガソリンスタンドで一般消費者向けに販売されている
という状況ではありません。
「14円/L」は、あくまでドリーム燃料の製造コストについて示された数字です。
実際の販売価格になる場合には、製造装置、設備投資、輸送、保管、流通、税金など、別の費用が発生する可能性があります。
したがって、
「14円で製造できる」
と
「消費者が14円で購入できる」
は同じ意味ではありません。
現在確認できる事実を整理
| 項目 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 14円/Lという数字 | 存在する |
| 14円の意味 | 軽油の場合の生成コストとして示された試算 |
| ガソリンスタンドで14円販売 | 確認できない |
| 開発者 | 今中忠行氏ら |
| 技術 | CO₂・水・光触媒などを利用した炭化水素合成として説明 |
| 種油 | 製造工程で使用すると公式サイトに記載 |
| 実証実験 | 2023年に大阪で実施 |
| 政府による14円/L認定 | 確認できない |
| 政府の評価 | 2024年時点で製造原理・品質・コストなどの定まった評価はないとの答弁 |
| 国が進める合成燃料 | CO₂と水素を利用する技術 |
| 国の合成燃料コスト試算 | 約300~700円/Lなど |
| 2025年大阪・関西万博 | 合成燃料を使ったシャトルバスを運行 |
まとめ
「1リットル14円の燃料」という情報には、実際の根拠があります。
ただし、その14円はドリーム燃料について開発・関係者側が示している製造コストの試算です。
現在、一般のガソリンスタンドで1リットル14円で燃料が販売されているわけではありません。
また、日本政府は2024年の国会答弁で、ドリーム燃料について製造原理、品質、製造コストなどの評価が専門家の間でも定まっていないと説明しています。
一方で、2026年にも開発者側から、産業用装置による連続生産や1リットル14円程度という説明が紹介されています。
したがって、現時点で確認できる事実を一言で整理すると、
「1リットル14円という製造コストの試算は存在する。しかし、一般市場で14円/Lで販売されている燃料でも、公的に14円/Lの大量生産が確立したと確認された燃料でもない」
ということになります。
今後、産業規模での生産実績、第三者による性能・コスト検証、燃料規格への適合性、実際の販売価格などが公表されれば、この「1リットル14円」という数字がどこまで実用化できるものなのか、より具体的に判断できるようになります。
参考資料・公式情報
株式会社アイティー技研「ドリーム燃料製造装置」
公式サイトを見る
EXPO 2025 大阪・関西万博「水素とCO₂で作る未来の燃料」
大阪・関西万博公式サイトを見る

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